ローカル情報発信最強ツール、人気地域情報誌の作り方

インターネットでの発信をどれだけ駆使しても届かない層があります。地方になればなるほどその層は大きくなり、ネットでどれだけバズった話題でも全く知らない人がたくさんいることに気づきました。地域情報誌はその届かない層へのアプローチを可能にします。

猪名川町の地域情報誌

いながわベースという団体があり、私はそこで作る地域情報誌の編集長をしています。

いながわベースの地域情報誌は町が制作する広報誌と一緒に町内全戸配布されます。地域のお店や施設、道の駅などにも設置され、者からお年寄りまで多くの方に読まれています。

町の広報誌はよく出来たもので、広報コンクール優秀賞を受賞しています。地域の誰もが安心して見れてしっかり情報を得れる。誰が見ても文句の言いようがないような高品質のものを作っていると思います。

一方でいながわベースがつくる情報誌は、町の広報誌とは違う視点で、行政では手の届きにくいコンテンツを作ろうとしています。例えば飲食店情報のパン特集。この記事を見た人の何%かはその店に足を運び、「おいしー」と笑顔が生まれる。お店は売上が増え、その税金は教育、福祉に回り、従業員の給料が上がるかもしれません、そのスタッフの子どものお小遣いが増えるかもしれません。

この辺りは公平性が必要な行政が苦手なところです。「飲食店系の特集ばかりじゃなくてゴルフ場特集もやってー、パチンコ屋特集もやってー、不公平だー」となるわけです。

いながわベースの地域情報誌は春と秋の年2回発行。今、第3誌目を作成しているところです。テレビや新聞にも取り上げられ、地域内外からも評価も上々。出だしは順調です。

地域情報誌の作り方

老若男女で作っています。

性別も年齢も趣味嗜好もバラバラなメンバーで企画内容を練ることで幅広い層から支持を得るコンテンツをつくることが出来ます。また、個々の得意分野を生かした関わり方が出来ます。写真撮影が得意な人、文章を書くことが得意な人、IllustratorやPhotoshopを使って編集が得意な人、人と話すのが好きな人、美形でモデルにぴったりな人、全体をコーディネートしてまとめるのが得意な人、フットワークが軽く仕事が早い人、文章校正が得意な人、営業が得意な人、顔が広い人、デザインセンスが良い人。様々な得意分野を生かして制作しています。

モデルには町内在住の2017年フラワープリンセスにお願いしました。大野山の岩巡りをテーマにした記事です。撮影は、メンバーでカメラ趣味の方たちにもお願いします。加えて上記の写真は地上からは撮れないので許可を得てドローンを使った空撮をしました。どちらかというと若者受けするような記事にしています。

一方でこちら、猪名川町はなぜ長寿の町なのか

割と中高年の方から支持をいただいた記事です。この記事の取材を担当したのはメンバー最年長の方です。何度か追加取材をお願いしましたが、他地域の行政関係の方々やメディアの方からも高評価いただいた記事でした。

その地域に住む(活動する)人で作っています。

ローカルなつながりがあるから引き出せる話、表情があります。人と人の会話で生まれていく記事は、相手の心が開いてくれるかどうかが重要です。それまでの関係性がない人であれば言わないことも、人伝ての知り合いでもあれば心を許してくれぶっちゃけトークで盛り上がることも多いです。その分、取材には時間がかかることも多いのですが、そもそもメンバーみんな仕事としてやってないので楽しみながらやっています。
【閲覧注意】猪 鹿を狩る そして食す。

制作費は広告費でまかなっています。

取材でかかる経費、印刷代、全戸配布にかかる費用は情報誌内に掲載している広告費でまかなっています。また、わずかですが、取材したスタッフにもお金を支払うような仕組みにしています。その制作費の総額は一誌ざっくりで100万円程度です。その営業もスタッフが行います。広告主様のおかげでこの情報誌は作れています。だからこそ、自己満足的な多くの人に読まれない情報誌であってはいけませんし、手抜き記事も許されません。写真一枚一枚にこだわります。広告いただいた企業が出して良かったと思えるような反応が取れるように、多くの人に見てもらえるような策をみんなで日々練っています。創刊と共に制作したホームページは1年足らずで現在、月30,000ビュー程度。2年後には100,000ビューいきたいところです。

表紙は住民のモザイクアート。

パッと見では町の名所写真ですが、この表紙をよく見ると約500人の地域に住む方の写真で出来ています。その中には町長の写真もあったりします。A4サイズの情報誌では顔まで認識することは不可能ですが、QRコードからホームページにいけば拡大して見ることも出来ます。
猪名川町民大集合!モザイクアート第2弾、桜!

道の駅いながわにはこの表紙の特大B0サイズポスター(1030×1456mm)を貼ってもらっています。桜の元写真は役場広報からの提供で、さすが綺麗な写真です。
割と手間のかかる表紙ですが創刊号で好評だったので継続しようと思っています。

Webサイトとの融合。

情報誌に出している記事のほとんどはWebにもっと詳しい内容が書かれています。28Pの尺の中には収まりきれなかったもの、取材時のオフショットなどで深掘りされています。「続きはWebで」といった感じです。SNSでシェアしてより多くの人に見てもらおうとしています。Googleアナリティクス(Googleが提供するアクセス解析ツール)ではそれぞれ記事の個別アクセ数、滞在時間なども分かる為、どの記事の反応が良かったか一目瞭然です。

取材したけど実際記事にしてみるといまいちパッとしない感になってしまった場合、いわゆるお蔵入りすると何かと問題も生じるのでWeb掲載に変更したりもします。

星空をみるのに最適!枕付きポータブル無重力チェア最新モデル

またWebサイトは定期的な更新が重要で、通常はメンバーみんなで記事を書いています。この時にそれぞれアフィリエイトを許可しています。どういう事かというと、例えば「大野山で星空をみる」みたいな記事を書いたとすると記事下部に左のような画像にリンクをつけます。

記事を読んでいる人は「大野山で星空をみるのに最適な枕付きポータブル無重力チェア」の最安リンクが貼られているのでそのまま購入するかもしれません。記事を書いた人はアフィリエイトリンクが張っているので、このリンクから買われたら合計金額の3%が報酬としてアマゾンから支払われます。つまり、アクセス数が増えるような良質な記事を書けば書くほど、おこづかい程度の収入ですが得られるわけです。記事の書き方やアフィリエイト登録がわからない人には詳しく教えています。やり方によっては毎月数千円〜数万円くらいは可能です。

行政との連携。

この情報誌を制作するのに役場からのフォローがないと出来ないことが非常に多いです。町広報と同時配布も読者からすれば安心感につながり読んでくれる率はグッと上がります。広告主様からしても「町内全戸配布」「町広報と同時配布」「役場からのフォローあるいながわベース情報誌」は好材料といえます。撮影許可、写真や資料提供なども、個人や一般団体では難しいことも行政だと簡単にできることもあります。地域の情報紙をつくる上で、役場ほど強い味方はありません。町の人からもよく「行政の強み」と「町民の強み」の両方を生かした作り方が良いと言われます。

読んだら捨てられる、読まずに捨てられるようなものを作らない。

その情報誌の価値をあげる。読んだら捨てられるような価値のものを作らない。捨てずに取っておくレベルのクオリティーにする。その結果、広告価値が上がります。表紙のモザイクアートも町民の写真から出来ているので「捨てずに取っておく」ことに繋がると思います。写真・記事内容のクオリティーを高くする事なども。

スケジュール

下記は2019年秋号を制作する時のスケジュールです。
【企画提案】 4月25日
【企画・チーム決定】 5月末
【取材スタート】 6月1日〜
【記事まとめて提出】 6月25日 各リーダーが編集長宛に全データー送信完了

【記事の内容・デザイン熟考】 6月25日〜7月15日
【再取材依頼】(無い場合もあり) 7月15日〜
リーダーと練りながら再度内容・デザイン熟考。足りていない資料・写真等を再依頼
【リテイクの締め切り】7月25日

【記事完成】 8月25日
【メンバー内に編集後データー公開】8月26日
【誤字脱字チェック】(役場チェックも)8月26日〜9月4日まで
【印刷発注】9月5日
【納品】9月25日
【配布】9月25日〜

①まずは各企画を提案していくMTGをしていろんな企画ネタを話し合います。
②全28Pのバランスを考えて決めていきます。
③企画と何ページの内容かを決まったら、そのリーダーとサブリーダー、協力スタッフを決めます。
④リーダーとサブリーダー中心に企画の詳細を練ります。この時、メインターゲットは誰か。読んだ方は何を感じて欲しいかなどテンプレシートを用意してそれに添った形で考えます。こちらは長くなりますので別記事に上げていきます。
⑤仕上がりをイメージした具体的なデザインを決めリーダーがメンバーみんなにプレゼンします。
⑥全員のOKが出たら取材スタート
⑦リーダー・サブリーダー中心に取材スケジュール決めてモデル・カメラマンやインタビュアー・アシスタントなど協力者を集めます。
⑧取材した後記事を各チーム内でまとめて、締め切りまでに編集長へリーダーが提出します。
⑨編集長が内容を確認して、やり直して欲しいところなどがあれば依頼します。
⑩Facebookのチャットでなどでメンバーに意見を聴きながら編集長がデザインしていきます。

このような編集チームとは別に営業班もあり、予算達成までの作業を進めて全体へ進捗をあげるようにしています。

まとめ

まだまだいながわベース地域情報誌はスタートしたばかりで、これからどんどんブラッシュアップして良いものになっていくはずです。地域情報誌を制作していく上で最も重要な事は、携わるメンバーが楽しむこと。編集長としては楽しめるような仕組みをつくる事が最重要課題だと思っています。

いながわベース編集長
猪名川町観光協会理事 副会長
PR企画事務所代表

上福田守彦


猪名川町・川西市・宝塚市・伊丹市・三田市・篠山市・豊能町・西脇市 多可町の動画制作/ドローンによる空撮動画/ホームページ制作/チラシ・ポスター制作はPR企画事務所にお任せください。

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